中つ国

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「ボロミア」 この世の全てを 操る事の出来る 一つの指輪は   冥王という名の 邪悪な者が作り出した 力の指輪は   人間の王が 邪悪な者から奪い取った その指輪は   持つ者の心を 悪に染めようと誘惑する   実際にそれを目の前にしたら おそらく俺は欲するだろう 祖国の為に   他者よりも祖国を 想う気持ちが強いのは 王の不在が為に 俺が民の期待を 背負っていたからかもしれない   だから 小さい人の小さき手の中で 鈍く光る一つの指輪を目にした時 思わず息をのんだ 声をあげた   祖国の為に使おうと そう 祖国の為にだ 結局それは 叶わなかったが…   俺は決して認めない 危機に晒されている祖国を ほったらかしにしていた男に どうして今更 俺達が護り続けてきた 祖国を任せられようか   …No,kidding!…   どこまでも俺を否定する 王たるべき男を 受け入れるつもりなどなかった   だが 人間とは脆い   誘惑に負け 恐怖で蹲った時 目の前に 差し出された手に 縋ってしまう   魂の抜け落ちてしまった 俺にさえ 涙を流した 我が王の救いの手に…
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