第壱話~百鬼夜行~

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しばらくして… 気を失っていた依成が目覚めた。 「ケケケ…美味そうな女だぜェ…」 「…!!?」 いつの間にか依成は頭の上で両手を握られ、身動きを取れなかった。 「は、放して!」 依成は抵抗するが、妖怪の握力が強く、逃れることができない。 「残念ながらそれは無理だぜェ。久々に解放されたオラたちは腹が減ってるんだぜェ」 妖怪、天邪鬼(あまのじゃく)は依成の頬を舐めまわす。 「いやぁ…」 「さぁてそろそろいただ…」 「待てぇい!」 「グギャァアア!?」 依成を拘束していた天邪鬼は真っ二つになった。 「悪いがオメェらに食わせるにゃ勿体無いぜ!」 「け、剣護さん!」 そこには、抜刀した剣護が立っていた。 「依成ちゃん、立てるか?」 「え、えぇ」 「ここは分が悪い。一旦山を降りよう」 「あっ!でも依颯が…」 「逃がさないぜェ!」 もう一匹の天邪鬼が背後から掛かってきた。 「何!しまっ…」 「そぉい!」 みごっ 「んごふゃ!?」 二つの勾玉が左右から天邪鬼の顔を打つ。天の邪鬼の顔は元より醜く歪んだ。 「この勾玉は…」 「お姉ちゃん!剣護さん!」 依颯が茂みの方から走ってきた。 「依颯!無事だったのね!」 「なんとかね。マガーとタマーが守ってくれたの!」 「マガー?タマー?」 「…お二人さん、話は後だ。囲まれる前に逃げるぞ!」 とりあえず三人は山を降り、慈乃谷神社を目指した。
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