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しばらくして…
気を失っていた依成が目覚めた。
「ケケケ…美味そうな女だぜェ…」
「…!!?」
いつの間にか依成は頭の上で両手を握られ、身動きを取れなかった。
「は、放して!」
依成は抵抗するが、妖怪の握力が強く、逃れることができない。
「残念ながらそれは無理だぜェ。久々に解放されたオラたちは腹が減ってるんだぜェ」
妖怪、天邪鬼(あまのじゃく)は依成の頬を舐めまわす。
「いやぁ…」
「さぁてそろそろいただ…」
「待てぇい!」
「グギャァアア!?」
依成を拘束していた天邪鬼は真っ二つになった。
「悪いがオメェらに食わせるにゃ勿体無いぜ!」
「け、剣護さん!」
そこには、抜刀した剣護が立っていた。
「依成ちゃん、立てるか?」
「え、えぇ」
「ここは分が悪い。一旦山を降りよう」
「あっ!でも依颯が…」
「逃がさないぜェ!」
もう一匹の天邪鬼が背後から掛かってきた。
「何!しまっ…」
「そぉい!」
みごっ
「んごふゃ!?」
二つの勾玉が左右から天邪鬼の顔を打つ。天の邪鬼の顔は元より醜く歪んだ。
「この勾玉は…」
「お姉ちゃん!剣護さん!」
依颯が茂みの方から走ってきた。
「依颯!無事だったのね!」
「なんとかね。マガーとタマーが守ってくれたの!」
「マガー?タマー?」
「…お二人さん、話は後だ。囲まれる前に逃げるぞ!」
とりあえず三人は山を降り、慈乃谷神社を目指した。
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