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ガラン…ガラン……
「…………あっ、いけない。寝過ごしちゃったかな?」
炬燵で眠ってしまっていた依成は、鈴の音で目が覚める。
とりあえず様子を見に行くことにした。
「おぉ神様…儂らをお助けくだせぇ…」
「お願ぇしますだ…」
(お助け?何かあったのかしら…)
依成が向かうと、賽銭箱の前には近所の村人たちがいた。
「…皆さん、どうしました?」
「あぁ、ここいらの巫女さんだか?ちっと聞いておくれ」
依成は老人から話を聞いた。
どうやらこの老人たちの村が、昨日発生した妖怪に襲われたらしい。
「…妖怪に襲われた?」
「んだ。急に村にやってきて、家を荒らしてっただ!」
「可哀想に、そいつらに喰われちまった人も……」
「旦那はアタイを守って…くっ!」
妖怪はまだその村に居座っていて、今ここにいるだけが生き残った村人のようだ。
(ひどい!)
依成は驚愕した。
妖怪が山を降りてくる予想はしていたといえ、こんなに早いとは思っていなかった。
しかもとてもひどい悪さをしている話を聞き、依成は…
「…悪い妖怪を退治するのも、巫女の仕事ですッ!」
はて、どうしてこのような言葉が出たのか。
お祓いや神降ろしはしたことがあるものの、妖怪退治などは全く経験がない。当たり前のことである。
「み、巫女さん!やってくれるだか!?」
村人から歓声が上がった。
「あ…。み、皆さんは安全なここにしばらくいてください。あとは私たちがなんとかします!」
「おぉ、ありがたやありがたや…」
「旦那のカタキを討ってきてくれ!」
「ま、まかせてください!」
どうしてこうなった。
その場の雰囲気でもはやどうしようもなかったわけで。
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