第壱話~百鬼夜行~

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「んっ…今の音…何?」 一方、慈乃谷神社… 布団に入っていた依成が、先ほどの轟音で目を覚ました。 「山の方から聞こえた。何かあったのかしら…」 この神社は御坂山を背にして、ふもとに建っている。落下地点からはかなり近いようだ。 「様子を見に行ってみよう」 依成は起き、着替える。 「…お姉ちゃん?」 寝ていた依颯が身体を起こした。 「あ、ごめんね依颯。起こしちゃった?」 「ううん、私もさっきの音で起きちゃったんだ。ねっ、私も行っていい?」 「ダメよ。何があるか分からないから、留守番してて」 「でも…お姉ちゃんだけでも心配だし」 妹に心配される姉もどうかと。やれやれとため息をつく依成。 「しょうがないわね。早く着替えて」 「うん!」 依颯も着替え、二人は山へと向かった。 …静まり返る寝室。 依颯の枕元で光る、二つの勾玉があった。 「…行っちゃったね」 「ああ。オイラたちはどうするんだ?」 「依颯殿が心配だから、ついてこうよ」 「そう言うと思っていたよ。そんじゃ行こうか!」 二つの勾玉はふわりと浮き上がり、ふすまの隙間から飛んでいった。
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