第壱話~百鬼夜行~

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数分後、御坂山の中腹。 「あら?剣護さん!」 依成たちが到着した。 「おっ、依成ちゃん達。丁度いいところに来てくれたなァ。見てくれ、このでっけぇ岩!」 剣護は、先ほど落下してきた岩を顎で指した。 「…岩?」 「そうそう、ソイツが急に空から降って来やがったんだ」 「降ってきた!?」 「ああ、にわかには信じがたいがな」 「…ってことは、さっきの音はこれだったのね」 依成は岩に近付き、調べ始めた。 「表面に何か文字みたいなのが彫られてる。それに、この注連縄…すごく太い」 岩の辺り一面に、文字か模様かも分からないもなが多々彫られていた。 そして依成は、岩に巻かれた太い注連縄(しめなわ)に目を付けた。 「注連縄って何だ?」 「神社にもあるじゃない。注連縄はね…天照大神が岩戸に隠れたとき、再びそこに隠れないように縄で縛ったのが始まりで、今は不浄な者の出入りを禁ずるときに使われてる縄なんだ。けど、それだけじゃなくて、何かを封じ込める力も持っているの」 「あっ、だからうちの神社にも注連縄があるんだね?」 依颯が納得した顔で言う。 「そ。神社の注連縄はある意味、神様を神社に封じ込めてるってことにもなるね」 「う~ん…俺にゃさっぱりだ」 剣護はしきりに首を傾げている。 「それでね、太ければ太いほど、その注連縄の持つ力は大きくなるの」 「………なんとなく解ってきたぜ。つまり、このでっけぇ岩の中にゃとてつもない何かが封じられてる…ってことか?」 「うん、たぶんそういうこと。でも一体何が…」
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