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「こんな時間に血が飛ぶたぁ…
京の治安も終わりだな。」
高杉はやれやれといった風に片手を挙げた。
「はっ!こんな時間に外歩いてる敵が悪りぃんだ…よっ!!」
『ガキィィイン!!!』
土方は言い終わらぬうちに地を蹴って高杉の首に向け一筋放った。
しかし高杉もスルッと脇差しを抜いてギリギリで土方の刀を止める。
「はっ!長州ってのはこの程度なのかぁ?」
僅かに土方の刀が押している。
高杉はキンッと金属音を鳴らしながら刀を跳ね返し、距離をとって抜刀した。
「いくら長州でも脇差しは刀じゃないぜぇ?」
「はっ!刀でも糞弱ぇだろうが!」
高杉のこめかみがぴくっと痙攣した。
土方は売り言葉に買い言葉のつもりで言ったのだが、短気な高杉は間に受けたらしい。
「田舎侍がぁ!」
青筋を浮かべながら土方に斬りかかる。
「ぐっ…」
土方は刀を防ぎきれず左腕がざっくりと裂けた。
「はははっ!!新撰組ってのは雑魚しか居ねぇなぁ!!」
「うっ…るせっ!!」
土方は刀を構え直して高杉に斬りかかった
瞬間
「うっ…」
「うおっ!?」
土方は出血からの目眩で足をよろつかせて前のめりに転んでしまった。
それに巻き込まれ高杉も後ろに倒れ込む。
二人の後ろは
階段……………
『ダダダダガンッ!!!』
二人は階段から落ちて気を失った。
雨は止めどなく降り頻る。
これが二人の遥かなる物語だとも知らずに…………
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