第一話 泥まみれの始まり

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「おいこれ…」 男はじっと着物を見つめる土方に気付きあぁと声をあげた。 「前のやつ雨に濡れてたし今乾かしてるよ。 それ俊から送られてきたんだけど俺いらないからあげるよ。」 「そういう訳にはいかねぇだろ。貰いもんなら大事にしろ。」 俺はさっと着替えるとその着流しを男に押し付けた。 「え~いらないんだけど~…」 そう言って眉を潜める男はやはりどこか総司に似ている。 「あ、そうだ。俺どうせ俊来るまで暇だし茶屋でも行かない?」 男は手を嬉しそうに手を叩く。 「茶屋?平気だが…」 (その俊がいざ来た時は待ちぼうけになるぞ?) 俺がそんな事を思っていると男が優しく微笑んだ。 「大丈夫だよ!俊は脅してあるから何時間でも待ってるって!心配しないで!」 哀れだな俊とやら… あの微笑みは何だったんだ… そんなこんなで俺達は宿を後にした。 ――――……
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