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「おいこれ…」
男はじっと着物を見つめる土方に気付きあぁと声をあげた。
「前のやつ雨に濡れてたし今乾かしてるよ。
それ俊から送られてきたんだけど俺いらないからあげるよ。」
「そういう訳にはいかねぇだろ。貰いもんなら大事にしろ。」
俺はさっと着替えるとその着流しを男に押し付けた。
「え~いらないんだけど~…」
そう言って眉を潜める男はやはりどこか総司に似ている。
「あ、そうだ。俺どうせ俊来るまで暇だし茶屋でも行かない?」
男は手を嬉しそうに手を叩く。
「茶屋?平気だが…」
(その俊がいざ来た時は待ちぼうけになるぞ?)
俺がそんな事を思っていると男が優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ!俊は脅してあるから何時間でも待ってるって!心配しないで!」
哀れだな俊とやら…
あの微笑みは何だったんだ…
そんなこんなで俺達は宿を後にした。
――――……
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