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――案の定、図書館の入口に着く頃にはうっすらと汗が滲み、髪が額に張り付いていた。しかし、不快な汗ではない。むしろ、日頃の不摂生をたしなめるように洗い流してくれる、母性を感じさせる汗だった。
図書館には多くの人が出入りをしていた。大学生らしい女性から、主婦、スーツを着た中年男性に至るまで、実に様々だ。不思議と集団となっている人間は見掛けない。自分の見る限りでは多くて三人まで、殆どが個人だった。そういう魔力が図書館には在るのかもしれないな、と私は思った。
館内は実にシンプルな構造をしていて、東側にやや小さい児童図書室、西側に広い一般図書室、二階は自習室になっているらしい。私は迷わず一般図書室へと向かう。
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