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「そうですか…。分かりました。だが、困ったことになったな…。」
話を聞き終えたデスラーはそう呟くとため息を吐いた。その様子に菜々子は不安気な顔をし、目で問い掛けた。
「いや、依頼内容は分かりました。だが、私は慈善事業をする気はありません。魂を鎮めることで報酬を得る。私はそれを仕事として行っているのです。肉体を失った魂だけのあなたに、報酬を支払う能力があるとは思えない。」
デスラーは冷たく突き放すように言った。しかし、菜々子は食い下がる。
「確かに私はお金を支払うことはもう出来ません…。でも!私の為に苦しむ彼の魂をなんとか鎮めてあげたいんです!なんでもしますから…だからお願いします!」
デスラーは小考した。やがて、ハッとしたように顔を上げ菜々子に問い掛ける。
「分かりました。なんでもするとおっしゃいましたね。では…」
デスラーから出された条件に菜々子の顔が曇る。しかし、決心したように口をキュッと結ぶと頷いた。
「それで構いません。お願いします。」
契約が成立した瞬間だった。
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