出逢い

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暖かな春の陽気に包まれ、あちらこちらに桜の花が咲き、鳥のさえずりが聞こえる。 ここ内裏の藤壺の殿舎にも、のどかな時が流れている。 桜の枝の間に見え隠れする、小さな小鬼達を見慣れた様にボーッと見ている女房がいた。 名は桜と言い、内大臣藤原道長の娘「彰子(あきこ)」の入内(じゅだい)に付いて、出仕した。 小さな頃より、こういう妖(あやかし)をいつも見ているので、桜にとっては日常的な事なのだ。
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