湖子です拾って下さい！

私を拾え！

毛玉は俺をじっと見てる。

薄汚れた焦げ茶色のぼっさぼさで長い髪。多分前髪も同じ長さだから、どっちが後頭部でどっちが顔なのか分からん。

つまり顔が見えない。でも、何となく俺を見てるんだろうな、と思った。

「おい」

「ははははい！？」

いきなり声を掛けられたから裏返ったじゃねーか。つーか、女の子の声？

女の子(？)ホームレスは泥だらけの腕を伸ばして、段ボールハウスのドアあたりを指差した。