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『-ぶヒょぃぎャァアあァアあアァアあっ!!!!』
鉄之助は奇声を発しながら、喋り出した刀から離れる様に飛び起きて仰け反ったっ!!
『-けっ…けたなっ…刀…がっ…喋ったてるぅ…!!』
凄まじく取り乱す鉄之助は、思わず言葉を噛む…
《-落ち着け小僧…まぁ驚くのも無理はない…か
…だが案ずるな小僧よ…何も小僧の事を祟ったり喰ろうたりせぬわ》
取り乱す鉄之助を落ち着かせる様に…喋る刀、村雨が話す…
『-ホ…ホントかよっ…信じらんねぇっ…』
疑いの眼で村雨を見つめる鉄之助だが、勇気を振り絞って恐る恐るゆっくりと四つん這いになりながら村雨に近付いて行く…
そんな鉄之助の姿に、村雨は馬鹿にした口調で言う…
《-本当だ…全くしつこい『小僧』よの…何もせんと言っておるだろうが…》
-…ブチンッ…!!!
…と、鉄之助の頭の線がキレる音が部屋に響く…
『-…さっきから小僧、小僧、小僧って……俺の名前は『小僧』じゃねぇよっ!!!!』
いきなり怒鳴る鉄之助に、村雨もちょこっとばかし驚いた…
《…ぬっ…!?》
『-俺は市村鉄之助っ!!!『小僧』じゃねぇよ妖刀オヤジっ!!!!』
歯を剥き出しにして威嚇する様に、鉄之助が怒り叫ぶっ!!!!!
《………クックッ…》
『-っ…!?…何笑って…』
《-クックックッ…このワシを…『このワシを妖刀オヤジ呼ばわり』か……クックッ…その度胸…気に入ったぞ『小僧』よっ!!》
『-…あ…そう…』
このオヤジ…また小僧ってぬかしやがった…と、思いながら呆れた表情で鉄之助が呟く…
《-うむ…所で『鉄』よ…早速お前に頼みたい事がある…》
『-何…?』
突然『小僧』から『鉄』と名前を呼んでくれたことで、鉄之助の表情が自然と緩くなる…
《-ワシを鞘から出してはくれぬか?…鞘の中は少々…窮屈でな…》
鞘から出ると妖怪になるかも…とか考えていた鉄之助だったが…
『-わ…分かったよっ…』
鉄之助は渋々村雨の指示に従い、鞘から刀を引き抜いた…
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