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序章第一話それぞれの意志と宿命
…西暦1867年
4月9日…
…京都
新撰組屯所
西本願寺
稽古道場…
『-オラァッ!!へばってんじゃねぇぞ茶ボウズっ!!』
左の頬に刀傷、右目に眼帯をした隻眼の青年の声が稽古道場に響いた…
『-この程度の稽古でへばってる位じゃあ…長州のヤツら一匹斬れやしねぇぜ…』
眼帯の青年は呆れた表情をしながら、目前に倒れている少年に向かって言う…
『-それじゃあ何時まで経っても…トシのお茶入れ隊士で人生終わっちまうなぁ…』
『-~…っ…!!』
それを聞いた傷だらけの少年は…何事も無かったかの様に素早く立ち上がった…
『-そんなワケないでしょ…?…沖田さん…』
少年は口から出ている血を左手で拭った後、両手で木刀をギュッと力強く握り締め…構える…
『-そんな人生まっぴら御免です…そんな人生送るくらいなら、ここで沖田さんに殺された方がマシですよ…新撰組の誰よりも、沖田さんよりも強くなって…新撰組で一番の…大剣豪に俺は成るんですっ!!』
新撰組隊士…沖田曰わく茶ボウズこと市村鉄之助は、不敵な笑みを浮かべながら言い放った…
-村雨の鉄
『-フーン…で?』
それを聞いた沖田は、楽しそうな笑みを浮かべながら言った…
…すると、鉄之助も二カッと笑みを浮かべ…大きな声で沖田に返す…
『-もう一稽古…御願いしますっ!!!!!!』
-幕末妖刀伝
『-お~し、よく言ったぜ茶ボウズ…オラ、かかってこい!!』
鉄之助は木刀を構え、鋭い眼光で沖田を睨みながら沖田の間合いに入ろうとしたその時-
『-と…言いてぇ所なんだが…』
『-!?』
沖田が発した言葉に、鉄之助は驚いて立ち止まった…
『-稽古はもう終わりだ…付いてこい茶ボウズ』
そう言って沖田は振り返り、道場の入口まで歩き出した…
『-えっ…ちょっ…付いて来いって…何処行くんですか?』
困惑する鉄之助に沖田が答える…
『-トシとコンさんに稽古が一通り終わったら、お前を連れてこいって言われてたんでな…』
作-宇谷尋壬
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