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…商店街へと続く道を歩いていた…
『🎶~』
【-早く刀欲しいなぁ…】
と…鉄之助はウキウキしながら心の中で思った…
すると…
『-そこのニヤケた童よ…』
鉄之助が声の聞こえた方へと顔を向ける…
『-今、心の中で『刀が欲しい』と…思っとったじゃろう?』
壁にもたれ掛かって地面に座り込み、三度笠を被った長い白髭を生やした老人が、鉄之助に語りかけた…
鉄之助は大きく目を見開き、驚いた顔で老人をじっと見つめる…
『-ホッホッホ…当たりかのぉ?』
『-スっ…スゲェじーちゃんっ…今俺の考えてた事だよ…なっ…何で分かったのっ…じーちゃんってもしかして…占い師か何かっ!!?』
そう言って鉄之助は興味津々の表情をしながら老人に歩み寄った…
『-ホッホッホ…そんな所じゃな…良ければこの『果心居士』が御主の未来を占ってやろうかの?』
『-えっ!!?ホントにっ!!?タダで!?』
『-勿論タダじゃぞ…ささ、手を握らせてくれぬか?』
『-うんっ!!』
鉄之助は勢い良く手を差し出し、果心居士はその手をゆっくりと握った…
…………………
『-…爺ちゃん、どう?何か見えて-』
鉄之助が果心居士に問い掛けたその瞬間…
突然果心居士は体を震わせながら涙を流し始めた…
『-っ!!…おぉすまぬな童よ…』
『-じっ…じーちゃん…どうしたの…具合でも…』
心配した表情をして鉄之助が言う…
『--フフ…いや…気にするな童よ…
残念じゃのう何も見えんかったわ…
ワシも落ちぶれたもんじゃ…ホッホッホ…
見れなかったお詫びにこの果心居士が鍛えた刀…『村雨』を貰ってはくれんかのぉ?』
何時の間にかその刀、『村雨』は鉄之助の足元に置かれていた…
そして鉄之助は足元にある刀に目を向け、しゃがみ込んだ…
『-っ!!?ホントに!?コレくれるのっ!!?』
【つうか…さっき刀なんか地面にあったっけ…無かった…よな?】
『-けどこんなカッコイい刀タダでもらって-』
そう言いながら鉄之助が再び顔を上げたその時…果心居士の姿は既に其処には無かった…
突然姿を消した果心居士に鉄之助は驚きを隠せない…
『-じっ…じーちゃん…?…消えた…も…もしかして…さっきの…じーちゃんって…』
鉄之助の体が…ガタガタと震えだす…
『-にっ…忍者だったんだっ…ホントに居たんだ忍者あぁあっ!!』
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