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「クロリネ。ルーチェに戻りなさい。」
木々が生い茂る森に白い服を着た女性が誰かの名前を呼んでいた。
「い・や」
クロリネと呼ばれた12才程の男の子は後ろにいる女性、ルシェに舌を出しながら森の中へと走り出した。
「クロリネ!!いけません!!あなたは仮にも命を狙われているのですよ?」
だが、そんな事を聞いていないクロリネはさらに奥へと走り出した。
「あんな所に戻りたくない。大人しか居ないなんてつまらなすぎる。」
黄色い目を光らせながら走るクロリネは何かにぶつかり、クロリネの漆黒の髪は血で赤黒く染まった。
「クロリネ!見つけましたよ?」
「……ルシェか?」
其処には、複数の亡骸と辺り一面を埋め尽くす血があり、そんな中にクロリネは死神を思わせる紅い鎌を持っていた。
鎌が血で染まったのだ。
「魔物…ですか?」
「……俺を食おうとした。当然の報いだ。」
冷たく言い放つクロリネはとても大人びていた。
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