ルーチェ

2/13
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「クロリネ。ルーチェに戻りなさい。」 木々が生い茂る森に白い服を着た女性が誰かの名前を呼んでいた。 「い・や」 クロリネと呼ばれた12才程の男の子は後ろにいる女性、ルシェに舌を出しながら森の中へと走り出した。 「クロリネ!!いけません!!あなたは仮にも命を狙われているのですよ?」 だが、そんな事を聞いていないクロリネはさらに奥へと走り出した。 「あんな所に戻りたくない。大人しか居ないなんてつまらなすぎる。」 黄色い目を光らせながら走るクロリネは何かにぶつかり、クロリネの漆黒の髪は血で赤黒く染まった。 「クロリネ!見つけましたよ?」 「……ルシェか?」 其処には、複数の亡骸と辺り一面を埋め尽くす血があり、そんな中にクロリネは死神を思わせる紅い鎌を持っていた。 鎌が血で染まったのだ。 「魔物…ですか?」 「……俺を食おうとした。当然の報いだ。」 冷たく言い放つクロリネはとても大人びていた。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!