第2話 道場にて

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意識などしていなかった。 気がつくと体が動いていたというやつだ。 次の瞬間には俺のトンファーが師範代の喉仏の直前で止まっていた… 「……………フッ」 師範代が鬼の形相から微笑みに変わると同時に槍を立てた。 検技終了の合図。 「フッ…フッ…ゼッ…ゼェッ…」 その瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。 「拓…見事だったぞ…」 「…ゼッ…ゼッ…あり…がとう…ごさい…ましたっ…」 息ひとつ乱さずに告げる師範代に対し、俺は酸欠寸前だった。 (どっちが勝ったんだか分かりゃしねぇ…。 つか、全く勝った気がしねぇ) やっぱ師範代はバケ者だわ。 「ふぅ~~~っ」            
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