第2話 道場にて

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今日の稽古はこれで終了という事になり、着替え終えたら自宅に寄るようにと告げて師範代は一足先に帰って行った。 一人残って後片付けと着替えを済ませていると、道場の入り口の方から聞き慣れた声。 「ぅえ~っ!もう終わっちゃったのぉ~?」 「何だ、美琴(ミコト)? 随分と帰り遅かったな」 この子は師範代の娘で俺の1コ下の14才だ。 「ぶぅ~っ、だってぇ卒業式の後片付けが有ったんだもんっ! あぁ~あ、タッちゃんとパパの検技見たかったなぁ~っ」 「そりゃ残念、もう二度と見れないからな」 そう言って膨れっ面の美琴の頭をクシャクシャっと撫でてやる。 「へへへぇ~っ、ぅん?でも何で? 何でもう二度と見れないのぉ?」 「それはな?美琴……… 俺の命がいくつ有っても足りないからなんだよ」            
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