67人が本棚に入れています
本棚に追加
いまじゃこれだけ仲良くなれたけど、愛田くんたちと知り合ったのは1年の秋で。
家の都合で転校してきたおれに、いっちばん最初に話しかけてくれたひと。
それが愛田くんだった。
『おれ、愛田雅夜。よろしく!えーと…』
『槙元でいいよ』
『んー…じゃあ、槙閏ね』
『槙閏…?』
『いやだった?』
『…ううん、よろしく。愛田くん』
おれがそう告げれば、愛田くんはぱあっと笑顔になった。まるで花が咲いたように
それをきっかけに、愛田くんのともだちの蒼くん、翅くん、カズとも仲良くなっていまを過ごしている。
だけど最近、愛田くんといるとなんだか変な気持ちになる。
たとえばいまだって、初めて交わした会話やあの笑顔を思い出すだけで胸の鼓動がはやくなるし。
愛田くんに名前を呼ばれると、心臓が跳ねたみたいになるし。
目が合うと、なんだか逸らさずにはいられないし。
笑顔を向けられると、とくとくと鼓動が鳴るのと同時に、なんでか少し幸せな気分になる。
でもそれがなんなのかはいまだにわからないままだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!