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―講堂―
「なんつー人の数だよ、人口密度高いなオイ」
「んなこと言ってないで急げって、もう始まるぞバカ」
そんな事言い合いながら、講堂に入ろうとすると
…………額に青筋浮かべたポニーテールの女教師が現れた
「初日から遅刻とは…いい度胸だな、お前ら」
輪廻が咄嗟に言い訳を始める
「コイツが、いきなり殴り掛かってきて……」
俺の非になりそうな言い訳だったから殴って黙らせた
そのまま時間がまだある事を主張する
「あ、はは……一応、あと一分ありますけど」
今の時間、8時59分30秒
「………いいこと教えてやろう。9時ってのは入学式が始まる時間だ
なら8時30分には集合するべきだと思う訳だ私はな」
女教師は手に持っていたクリックボード見て、もう一度口を開いた
「桐崎昴に……早乙女輪廻。………輪廻って凄まじい名前だな」
「ほっとけ」
いつの間にか立ち上がっていた輪廻は、名前の事を言われブスッとした顔になった
コイツ、自分でもその名前はないと常々言っていたからな
「私はこの学校で生活指導をしている鏡香 静紀 (キョウコウ シズキ)だ
悪いがお前らの名前は覚えさせてもらうぞ」
「いっ!!」
「うへぇ……」
二人で嫌そうな声を上げる
それを聞いた先生は、満足げに頷いて言った
「まぁ、今回はお咎め無しにしといてやる。有り難く思え」
(凄い言い草だな、この女)
そんな事を思うが、おくびも顔に出さない俺
隣にいる奴は感情を隠しもせず、ぶちギレてたが
「じゃあ座れ。これから校長の挨拶だ
座る所は解るか?」
「空いてる席に適当に座る」
俺は、新入生っぽい挙動が不信な連中の中に、ポッカリ座席が二つ空いてるのを見つけていた
「なら早く行け。校長先生の‘マジメな’挨拶が始まるから」
なぜマジメを強調して言うんだ?
「さっさと行け、走れ」
ちなみに、入学式事態はもう始まっている
先生に叱咤されて、二人とも走り出した
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