《入学式》

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そして二人並んで席に着く 別に席が決まってるとかなかったから、後ろの方に座った 「うまく席が二つ空いてたな」 そう言って、隣に座った輪廻の方を向く 「んだよ、あのアマ。てめぇだって凄まじい苗字じゃねぇか……」 まだ言ってるよ、コイツ 「…………怖い先生だなー。一瞬だが熊沢を思い出したぞ」 熊沢っつーのは中学ん時の担任兼生活指導の先生だ 輪廻がこんなのだから、つるんでる俺も一緒に目をつけられていた 「アイツが熊沢並なら俺は泣くね」 「そりゃこっちのセリフだ。なにが悲しくて始業式始まる前から熊沢みたいなバケモンに目をつけられなけりゃならん」 それもバカのとばっちりで 「てめぇがくだらねぇ事しなかったらそれですんだんだけど!!」 「あーやだねー。そんな責任転換」 「このくそやろ……ケツの穴、手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせるぞ」 「皆さーん!! 現実にこんなアホな事言ってる絶滅危惧種がいまーす!! 近づかないで下さい、餌をあげないで下さい、可哀相な子を見る目で見てあげないで下さーい」 「くたばれ、男女!!」 そう言って、椅子から飛び上がってつかみ掛かって来る スパンッ 次の瞬間、空気を割る様な音と額に衝撃 輪廻は椅子に無理矢理座り直させられていた そして頭に直接語りかけてくる様に、さっきの女教師の声が響く 『アンタら静かにしろ!! 脳天ぶち抜くぞ!!』 とんでもない大声なのに周りは反応なし と、するとこれは魔法か? その時、頭から白い粉がふってくる 「チョーク……?」 額に当たった衝撃で、粉末になったチョークの残骸だった 「あの距離を投げてきたのか………」 「うぐぁあ!! 誰だコンチクショウ!!」 小さく感想を言った時、また輪廻が騒ぎ出しやがった あんまりうるさいから、頭を掴んで大人しくさせる (これ以上喚くとコンクリの壁に素敵な人柱が出来るぞ?) (う……俺って結構正当にキレてると思うんだが……) 正当にキレるってなんだと言いたいが、とりあえず無視 「クックク……」 そんな問答をしていたら、目の前から押し殺した様な笑い声が聞こえてきた それに輪廻が異常反応する 「てめぇ!! 見せもんじゃ……」 輪廻の威嚇が途切れる 俺が鼻っ面に裏拳を入れたからだ
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