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気づくと1時間30分経っており、納骨する部屋へと移動する。
部屋の真ん中には彼女の骨が。
俺は互い違いの箸で彼女のお骨を骨壺へいれていく。
骨壺に入れ終わり、葬儀所に戻る。
骨壺を前にお坊さんがお経を唱える。
そして、最後。
彼女の実家の仏壇に骨壺を置く。
俺は御焼香をあげさせてもらい、彼女の家族と思い出話をして、家に帰った。
引っ越しを中断して来たので部屋はすかすか。
電話やマンガ類、そして小物などしかない。
えらくさっぱりとした部屋の真ん中で俺は一晩中泣きわめいた。
今まで堪えたもの全てを吐き出した。
夜も開け、俺は部屋の隅で気力を無くし、座っていた。
トゥルルルル…トゥルルルル…
隣にある電話が鳴った。
「はい…もしもし」
俺は電話に出た。
しかし、電話は無言。
その時俺は気づいた。
電話線とコンセントは抜かれており、電話は鳴る状態ではなかった。
俺は怖くなり電話を切ろうとした。
しかし電話の向こうから声が聞こえてくる。
「…ね…。……からね…」
全身の毛穴から汗が吹き出す。
なぜだか電話を切りたいのに切れない。
「今から…行くからね…」
それは紛れもなく彼女の声だった。
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