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「大丈夫?」
裕翔くんに顔を覗き込まれる。
「だっ///…てか降ろしてよ!」
大丈夫なわけないだろ僕は高所恐怖症なんだから!
しかもなんでこんなに顔が近いんだ///
「あーだめだめ。まだだめだよ。」
そう言いながら桜の幹に近づいていく。
「ここ見て。」
「いやだからっ...えっ?」
見たことのない大きな穴が根と根の間にあった。
「こんなのあったっけ?」
「ふふっ。ねぇ涼介。」
えっ……?
「何で僕の名前知ってるの?」
「俺は…涼介の事、前からよく知ってるよ。」
そう言って笑う君の笑顔が
桜の花びらが舞うこの美しい庭になんだかとてもよく似合っていて
僕は何も聞き返せなくなってしまった。
「一緒に来て。」
なんだか僕はわけがわからなくなって夢見心地で頷いた。
「しっかり掴まって。行くよ。」
裕翔くんにぎゅっとしがみついた瞬間僕の体が落下していくのがわかった。
体はどんどん落ちていくのに
気持ちは軽かった。
底知れない安心感が僕を抱く体から伝わってきて
気づけば僕は裕翔くんの腕の中で気を失っていた。
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