それは戦国と三國の世

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 背中に感じる草の感触と、土の匂い。ゆっくりと目を開けると、木が見えてくる。どうして外にいるんだろう?ネギは体を起こして背伸びをする。 「たしか……僕、皆さんと食事を……──っ!」 ハッとして辺りを見回しても生徒たちは見当たらない。背筋がゾクリとした。しかし手元を見ると彼の武器、杖がある。あの魔法世界での事件に比べたら、いまの状況はまだ良いのかもしれない。あの時とは違い、父の形見である杖はネギの手元にある。その杖はいわゆる魔法の杖というものなのだが、そのまま武器として使うよりも最近彼は飛行用として使うことが多かった。つまり、移動には困らないということである。  彼は空から様子を伺うことにし、杖を跨いで一気に上昇した。 ──ゴクリ  ネギは息をのんだ。目下に広がるのは田畑、小屋のような家屋、立派な邸、それから遠くにはお城が見えた。それから反対の方角には広大な大地が広がっており、中国風の街と城が見えた。  眼前に広がる光景は、彼の知る日本ではなかったのだ。 「あれは……煙?」 火事かもしれない。そう思ったネギは様子を見ようと、その方角へと向かった。image=338794491.jpg
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