第一章

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新「あ…階段…」 …てか俺、服着てねえ…… 「あれえ?どーしましたあ?」 新「っわ!!び、びっくりした…、」 服を着ていないことに気付いてうなだれていると、後ろから声がした。 驚愕して振り返ればそこには… 新「…ねずみ?」 「やだなあ!ハリネズミだってばあ!」 新「あ…ハリネズミ…」 そこにいたのは俺と背丈の変わらない、本人曰くハリネズミだった。 言われてみればたしかに背中に針があるし… こんなデカイハリネズミ、とも思ったけど俺自体が小さくなったことを思い出して、溜息を吐いた。 「……あれ?」 新「ち…近い…!」 鼻先がくっつきそうなくらい顔を近づけられて、慌てて肩を押し返す。 尚もクンクンとまるで匂いを嗅ぐように鼻をヒクヒクさせて、ハリネズミは言った。 「あ…あああああアリスっ!?お帰りなさい僕らのアリス!!!!!」 新「ち、ちがっ…!」 「違うもんか!!アリスを見間違える訳がない!!」 がしっと抱き締められて、冷や汗が背中を伝うのがわかった。 「ああ、なんで裸なの!!アリスが裸だなんて…さ、行こ!!」 新「い…行くって…どこに…?」 「俺の店だよ!仕立て屋!もちろんアリスの服だってある!」 新「は…はあ…」 たしかに裸のままうろうろする訳にも行かないし… 新「で、でも俺金とか…」 「いらないよお代なんて!!アリスに出会えたんだもの!!」 新「や、だから俺はアリスじゃ…」 「早く行きましょアリス!!」 新「っうわ、ちょ…!!」 半ば強引に手を引かれて、自分の背丈と変わらない階段を降りていく。 …服をもらえるのは助かるし、いっかな… とか思いつつ、手を引かれるがままに階段を降りていった。
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