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新「…あ…被服室…?」
「あそこが俺の店だよアリス!」
見えてきたのは被服室だった。
ドアの下にはちゃんとハリネズミや小さくなった俺が通れるような小さな扉が付いていて、横には看板が立っていた。
「ささっ!」
その小さな扉をくぐって、ハリネズミは元気よく親方ー!と叫んだ。
「おいテメェ一体どこほっつき歩いてたんだ!!」
「いったあぁぁあっ!!!!!何するんですかあ!!」
出て来た親方も小さい俺と同じサイズで、顔中絆創膏だらけで気持ち悪い…
親方はハリネズミの頭を殴り、ハリネズミは大袈裟に言いながらその場へ倒れ込む。
「そんなことより聞いてくださいよ親方!!」
「ぁア?あ、お客さんかよ早く言え馬鹿!らっしゃい!」
新「あ、どーも…」
興奮気味に話すハリネズミをよそに親方は俺に挨拶をして、まじまじと見てくる。
「なんだい裸じゃねえか、どんなんにしましょ?」
「違うんです親方あ!!服ならあるんですよお!!」
「あ?まだお客さんから注文聞いてねェだろーが!!」
「違うんです!アリスなんですよお!!」
今までハリネズミに怒鳴っていた親方の動きが、止まった。
「あ…アリス…だと…!?」
新「や、ちが…」
「おかえり俺たちのアリス!!ああああ待ってたよ!!!!!」
俺を見て感激したように滲む涙を拭う親方。
…これだけ感激されると訂正しにくいんだけど…
「テメェなんで早く言わねえんだ!!」
「言おうとしたら親方が殴ったんじゃないですかあ!!」
新「あ…あのお…」
またデカイ声で親方とハリネズミがやり取りを始めた。
おずおずと話し掛ければ勢いよく二人にこっちを向かれて、思わず身体が強張る。
「ああ!服だったな!!今持ってくるから待ってなアリス!!」
新「や…あのそれが…金が…」
「お代なんかいらねえさ!!一目アリスを見れただけで感激さ!!」
新「は…はあ…」
「おら黄泉っ!ぼさっとしてねえでアリスの服だ服!!」
黄「わかってますよう親方!!」
ハリネズミ…基黄泉と親方は慌てて被服準備室へと向かっていった。
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