第一章

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新「…もしかして……」 嫌々ながらも下着を履けば、やはりぴったりのサイズに縮む。 新「…すげえなこれ…」 でもさすがに女物じゃ… 黄「着れたー?」 新「っ待って!!」 外で待っている黄泉に急かされて、慌ててエプロンドレスを着た。 新「…きも」 自分の姿を鏡で見て落胆した。 さすがに俺…脛毛濃いし… 黄「ねー着れたあ?」 新「き、着れた着れた!!」 シャッとカーテンが開いて、黄泉が目を輝かせた。 黄「わあああアリス!!よく似合ってるよ!!」 …あんま嬉しくない。 親方も覗き込んできて、黄泉同様目を輝かせて言った。 「やっぱアリスはこうでなくちゃ!!」 新「は…はあ…」 ささっこちらへ!と親方に急かされて、再び梯子を上る。 新「あ…あの…本当に金は…」 「いらねえいらねえ!!」 ぶんぶんと顔を横に振る親方の横で、黄泉がにこにこしながら前へ出た。 黄「お代の代わりと言っちゃなんだけど…」 「おいっ馬鹿黄泉!!」 黄「大丈夫ですよお!!一本くらい!!」 新「一本…?何を?」 よく話が読めないけど、お金の代わりになるものなら… 「…そうだな、一本ぐらい罰は当たらねえよな!」 黄「そうですよお!!一本くらい!!」 やっぱり話が読めない。 納得したような親方と嬉しそうな黄泉に遠慮がちに話し掛ける。 新「あ…あの…?俺が持ってるものなら何でもあげるけど…何が欲しい訳?」 黄「指を一本♪」 新「っっっ!?!?!?」 黄「大丈夫、痛くないよー♪」 気が付けば親方に仕立て台の上に押し倒されていて、裁ち切りばさみを持った黄泉がじりじりと近付いてくる。 新「っやだやだやだ!!!!!おっ俺の指なんか何すんだよ!!!!!」 「なにって…食うに決まってるだろ?」 寒気がした。 新「おっ俺の指なんか美味くない!!!!!」 黄「何言ってんの!アリスは美味いんだよ!」 新「美味くないぃぃいっ!!!!!」 黄「ちょっ暴れたら痛いでしょ!?」 じたばたと暴れる俺を必死で押さえ付ける親方と、俺の指をはさみで捉えた黄泉。 新「っっ…―!!」
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