第一章

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「いっってェェェ!!!!!」 新「あ……?」 覚悟を決めて目をぎゅっとつぶったら、俺じゃない叫び声が聞こえた。 恐る恐る目を開けば、親方の頭に花が咲いている。 「おいテメェら新弥は渡さねえぞ」 黄「る…瑠樺さん…!?」 新「え…!?」 ぶすり、とマチ針を親方の頭に刺しながら、瑠樺さんは黄泉と親方を睨む。 「わっ悪かったって!!さっ仕事だ黄泉っ!!」 黄「はーい…」 不服そうに仕事へと戻る黄泉を見て、涙が溢れた。 新「瑠樺さっ…!」 瑠「おー似合ってんじゃん」 俺をつまみ上げてまじまじと見ながら、瑠樺さんは男なら泣くんじゃねえ、と涙を拭ってくれた。 瑠「もう一人で行動すんじゃねえぞ、食われたくなかったらな」 新「ふぁいっ…!」 さて、と机に腰掛けて瑠樺さんは俺を掌へ乗せる。 瑠「シロウサギ探さねえとな…」 新「あ…」 そういえば、さっきいたのって… 瑠「あ?どした?」 新「さ、さっき見たよシロウサギ!!学校で!!」 瑠「あ?…ああ、そりゃシロウサギの記憶のカケラだ。」 新「記憶のカケラ…?」 瑠樺さんによると、シロウサギが通った場所にはシロウサギの記憶のカケラが落ちているらしい。 さっき俺が見たのも記憶のカケラで、だから机やドアを通り抜けたんだとか… 新「…黄泉たちなら何か手がかり知ってるかなあ…」 瑠「気になるなら聞いてみろ、俺がいるからさっきみたいにはならねえだろ。」 瑠樺さんに連れられて、せっせか仕事をする黄泉たちのところへ向かった。
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