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「こっちだよ」
新「っ!!」
上から聞こえた声に天井を見上げれば、廊下の掃除用具入れの上に大きな身体を丸めてうずくまるソイツがいた。
新「な…てめっ…!」
そこは少ししか隙間がないのに、器用に大きな身体を納めてる。
「さあアリス、シロウサギを追いかけよう」
いつの間にかソイツは俺の目の前へ降りてきていた。
やはりにんまりと笑ったまま、そう続ける。
新「だっ、だから俺はアリスなんかじゃ…」
「アリスだよ」
やはりソイツは俺をアリスと呼ぶ。
…キリがない、こうなったらシロウサギを見つけたほうが早いのか…?
新「…わかった、から…一緒にシロウサギ探すから…!」
諦めて俺がそう言えば、ソイツは嬉しそうに頷いた。
…口しか見えてないからはたして本当にそうかはわからないけど。
「行こう、僕らのアリス」
新「わ、わかったよ…」
ソイツは今俺が走ってきた廊下を歩いて行く。
取り残されるのも嫌だし、仕方なく俺は後を着いて行く。
新「…なあ、」
「なんだいアリス」
沈黙が怖い。
俺はソイツに話し掛けることにした。
新「お、お前さ、…名前とかねーの?」
「瑠樺だよ」
新「瑠樺…?」
瑠「チェシャ猫の瑠樺だよ」
新「ね、ねこ…?」
俺が首を傾げれば、ソイツ、基瑠樺は急に立ち止まった。
新「っわ!なんだよいきなりとまんな「なあ」…はい?」
今までとは全く違う、なんというか…男らしく瑠樺は言った。
「…普通に喋っていい?」
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