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SF(サイエンス・フィクション)に分類される作品だが、通常ならそこで最大限作品世界に盛り込まれる科学技術的な描写は重んじず、対立する陣営のイデオロギー、人物像、権謀術数、歴史、人物模様などの群像劇の流れを正面に出し、「後世の歴史家」の観点から叙述することで、さながら架空の歴史小説であるかのような体裁をとっている[1]。作者はのちに架空の歴史小説『アルスラーン戦記』を発表することになるが、この『銀河英雄伝説』においても、作者の歴史・文学の知識は色濃く反映されており、中国史をはじめとする歴史上のエピソードがしばしば顔をのぞかせている。また、作者が本作品シリーズにて首尾一貫「超能力」や「異星人種族」「未知のエネルギー」「戦闘用ロボット」「アンドロイド」といった世のありようを変えるSF的な要素を採用せず、むしろ禁忌とし続けたのも、いずれも史実、あるいはそれを基にした過去の文学作品を念頭に、人間同士の営みから生み出される歴史ドラマとしての構成を意図したためである。
作中、兵器の名称などには、銀河帝国側は北欧神話、対する自由惑星同盟側はオリエント・ラテンアメリカ・中国・中央アジアなど世界各地の神話からの引用が数多くみられる。また、人名、都市名などの名詞は帝国側はゲルマン風、特にドイツ系統に統一され、一方の同盟側はさながら多民族国家のアメリカのごとく雑多なものとなっている。
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