1幕

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ライムにしてみてもかわいい妹だが、戦場に出た以上女だとは思わないようにした。 いざ軍の危機になって、コハルを犠牲にして軍が助かるという状況になれば、この副官を殺す決断をするだろう。 「肝に銘じておきます。 しかし王様にも苦労しますわね。王自ら龍族の領地に攻め入るなんて。」 コハルは机から壁に視線を移し、壁に掛かった地図を見つめた。 動物の皮でできた大陸地図は、若干黒ずみ、乾燥で端が崩れている。 地図で見る大陸は3種類の色で分けられていた。 大陸の西に白色、東には青。 青の上三分の一は黒く塗られていて、 白に天、青に魔、黒に龍のマークがそれぞれ描かれている。 龍族を攻めるという事は、同時に魔族と戦う事でもあった。 魔族と龍族は相互援助関係にあり、龍族と天族の国境も魔族が警備しているからだ。 龍の国にも小規模とはいえ軍隊はあるが、もともと争いを好まない人々が集っている国だった。 そんな貧弱な国がこの戦乱の時代にまだ残っているのは、龍王の政治、外交力の賜物といえる。
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