青空町一丁目

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キィッ… ボロいけどブレーキだって利く。 利かなかったら事故るけどね。 まさし、しばしの別れだ。 泣くなよ。 うん、俺も泣かないから。 なんて、まさしと2人(?)芝居を高校の駐輪場でしてたら。 「おっ、おはよ春くん!これ受け取って下さい!」 「ん?うわっ」 どもった少し高い声に振り向けば、目の前数センチにカラフルな布が見えた。 というか、布しか見えない。 恐る恐る布から視線を外す。 あ、これ弁当箱だ。 弁当箱の向こうに見えたのは女の子だった。名前…知らないな…。 「だ…だれ?」 「え!?えっと…これ読めば分かるからっ!」 その子は少し顔を強ばらせた後 カラフルな布だった弁当箱を俺に押し付けて逃げるように走っていった。 「え…と何々… 「「私ずっと春くんが好きでした、良かったらお弁当食べて下さい」…だってよ」 …ってうわっ!」 やけに声が重低音で良くハモるなぁ、 やっぱ今日喉の調子がいい… とか思ってたら 潤介が背後から手紙を覗き見て 一緒に朗読していただけだった。 「よ」 「よ…じゃないよ、心臓に悪い!後ろから気配消して来ないでよ!」 「ふん。ま、気にすんな。でも…今日もモテモテで大変だな、しゅん君」 ニヤリと不敵に笑う潤介はそこらのイケメン悪役俳優よりも怖かった。 「…好きでモテてんじゃないし…」 やっと声を絞り出し、肩に寄りかかる潤介をどけて校舎に向かう。 「…それ、モテない男子に聞かれたら人気の無いとこで殺されるぞ?」 「やめて…地味に怖い」 ・
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