746人が本棚に入れています
本棚に追加
信じてたけど、
父さんと母さんは帰らなかった。
やっほ、も
渋滞しちゃった、も
無かった。
俺は小学校3年生で。
俺の時間は小学校3年生で止まった。
いや、止めた。
明るく元気に、
じゃないとばあちゃんが悲しむだろ。
素直でいい子、
じゃないと父さんと母さんが帰って来れないだろ。
…でも、
自分で止めたくせに、
時間が動いたら辛いのは自分なのに。
体はどんどん成長して、
ばあちゃんの背をとっくに追い抜かして、あの日飛ばした靴が絶対に合わなくなって。
それに伴って心の時間が動き出した。
それで聞きたくない
自分の声が聞こえた。
分かってるんだろ?
もうお前は小学校3年生
なんかじゃない。
もう父さんも母さんも
帰って来ない。
もう二人共死んだんだ。
中学3年。
初めて、両親を失った事に
泣いた日だった。
・
最初のコメントを投稿しよう!