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対戦相手には真也がいた。
小学生の頃は、よく一緒にバスケをしたっけな。
真也はバスケがうまかった。
だけど、全くついていけないほどではない。
少なくとも小学生の時はそう感じていた。
何より、手の内を知りつくしている。
懐かしさと負けん気の中、真也と洋二のジャンプボールで試合が始まった。
開始5分、洋二を中心にリードを広げる。
洋二の運動量は半端ないな。
6点差ついたところで真也にボールが渡る。
一呼吸した後、真顔になるのが見て取れた。
真也はドリブルが得意だ。
予想通り素早いドリブルをしながら突っ込んできた。
絶対止める!
そう自分に聞かせ、真也の前に立ちはだかり、腰を落として両手を広げた。
どうくる?
じっと出方をみる。
真也がニヤッとしたと思った次の瞬間、目の前のボールは消え、クルッと反転する真也を目で追っていた。
僕を置き去りに駆け抜ける真也。
焦りからか足がもつれ尻餅をついた。
ドテッ
何が起きた?
その場で起きた出来事をすぐには理解できなかった。
いや、理解しようとしなかったのかもしれない。
「ドンマイ」
洋二はしばらく立ち上がれないでいる僕に気付き、声をかけてくれた。
差し出された洋二の手を掴むと、グイっと引っ張り起こされた。
ようやく我に返る。
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