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目的地の中学校のグラウンドに到着すると、もう一名のボランティアが待っていた。
「早苗さん!」
棟方さんの声は遠くからでも響くぐらい大きい。
その声に気付き、軽く手を振る女性がみてとれる。
「あ、どうも。今日もよろしくお願いします。」
スラッとした長身は170cmってところだろう。
年齢は40歳前後かな。
見た目は清楚。
肌の白さが印象的だ。
早苗さんと呼ばれる女性はこちらを見て軽く会釈をした。
こちらも軽く会釈をすると、早苗さんはニコッと笑い、特徴的な八重歯を見せる。
しかし、二人か…。
そんな不安を他所に、棟方さんと早苗さんは楽しそうに話している。
どうやら顔見知りのようだ。
僕がぼーっと立っているのと、棟方さんが僕に声をかける。
「わるいわるい」
「いえ」
「今日はな、運動会なんや」
「で、僕は何をすればいいんですか?」
「一日、誰かについてあげてくれるか?」
「はぁ、それだけでいいんですか?」
「誰にするかはこれから決めるからこっち来てくれ」
そう言うと棟方さんは小走りで歩き出す。
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