9人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
やっくんは、時々「あ゛っ!」と奇声を発するものの、それ以外はおとなしくしている。
今の所、突然走り出す習性もみられない。
やっくんの腕をしっかりもつが、身長は僕と同じ180cmぐらいだ。
誘導するのも一苦労だな。
棟方さんから配られた進行表では、午前中に競技が三つある。
競技といっても競うことより、楽しむことが重要視されているようだ。
僕はやっくんの側を離れる事はできないため、一緒に競技に参加する必要があった。
「次は徒競走だよ。一緒に走ろう!」
僕の呼びかけには目も合わせてくれないが、競技には参加してくれていた。
楽しそうに参加するやっくんをみて、ついつい僕もかける声に熱が入る。
「あともうちょっと!がんばれ!」
既に参加する事への恥ずかしさはない。
お昼が近づくにつれ、やっくんも慣れてきたのか、僕の誘導にも従ってくれるようになり、妙な照れ臭さを感じていた。
汗を拭いて次の競技を確認しようと進行表に目を向ける。
(12:00~お昼休み)
拡声器をもった棟方さんが号令をかける。
「弁当を配るで~!」
棟方さんの大きな声が響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!