やっくん

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やっくんは、時々「あ゛っ!」と奇声を発するものの、それ以外はおとなしくしている。 今の所、突然走り出す習性もみられない。 やっくんの腕をしっかりもつが、身長は僕と同じ180cmぐらいだ。 誘導するのも一苦労だな。 棟方さんから配られた進行表では、午前中に競技が三つある。 競技といっても競うことより、楽しむことが重要視されているようだ。 僕はやっくんの側を離れる事はできないため、一緒に競技に参加する必要があった。 「次は徒競走だよ。一緒に走ろう!」 僕の呼びかけには目も合わせてくれないが、競技には参加してくれていた。 楽しそうに参加するやっくんをみて、ついつい僕もかける声に熱が入る。 「あともうちょっと!がんばれ!」 既に参加する事への恥ずかしさはない。 お昼が近づくにつれ、やっくんも慣れてきたのか、僕の誘導にも従ってくれるようになり、妙な照れ臭さを感じていた。 汗を拭いて次の競技を確認しようと進行表に目を向ける。 (12:00~お昼休み) 拡声器をもった棟方さんが号令をかける。 「弁当を配るで~!」 棟方さんの大きな声が響き渡った。
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