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「それ持ってる間は俺は何処にも行かねぇよ。だから安心してくれ」
「…………」
わたしはコヅエの首に回していた腕を解き、コヅエの大切なブレードを受け取る。
わたしは左手にブレードを抱え、右腕でコヅエに抱き付く抱っこの姿勢で落ち着いた。
不意に、暴れてはだけたフードが気になり始めた。
フードの下は、悪魔に剥れてしまったから、何も着てない。
コヅエは気にしていないようだったけれど、わたしはそれが今更ながら恥かしくてしょうがなかった。
わたしはコヅエに抱き付いたまま少しづつ身なりを整える。
こんな格好で肌を触れ合わすなんて、まるで恋人同士じゃないか。とおかしなことを考えて更に頭にぼぅっと血が上る。
「しかしまぁ、本当にすげぇな南蛮人は。黄金色の髪にもやしみたく細くて白ぇ肌、目も真っ青とくりゃ、鬼っ子だとか言われてもおかしくねぇよな」
抱き付くわたしの頭を撫でてくれるコヅエ。
「好奇心でまぁ、傷つけられただろうな。しかも手前と関係ねぇ戦にまで巻き込まれちまって、下種に襲われかけてよ」
コヅエはわたしを優しく抱き締めてくれた。嬉しくてたまらない。
「ごめんな。手前みたいな餓鬼がこんなめに遭っちゃならねぇんだがよ。とりあえずはあの下種共に取り返しの付かねぇことされる前に助けられて良かったぜ」
「アリガト、コヅエ、アリガト」
「礼を言われる筋合いはねぇよ。俺だって他の馬鹿共と同じさ。さしゃが南蛮人でなきゃここまで世話焼かねぇよ。結局俺も物珍しくて寄ってくる馬鹿ってことだ」
詳しくはわからなかったけど、コヅエは自分が嫌いなようだ。
わたしはコヅエの胸から顔を話して、彼の目を見る。
「ワタシ、コヅエ好キ」
自然と出た言葉……
顔から火が出そうになるくらい恥かしくなった。
「ア、アウ、好キデス。好キ、コヅエ」
わたしはバッとコヅエの胸に再び顔を埋める。
「ハハハッ、懐かれちまったか? いや、ありがとうよ。そんなこと言って貰ったのは数年振りだわな」
コヅエの機嫌は良くなったらしく、優しい笑みとも違った楽しげな笑い顔だった。
「コヅエ、コヅエ」
「ん?」
「コヅエ何処行ク? ソコニワタシモ行ク」
「付いて来たいってか? 駄目駄目、危ねぇからな。それに、さしゃの見るべき世界じゃねぇ」
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