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ようやく、地平線の彼方まで続いているのかとさえ思えた出店の列がまばらになってきた。
しかしそこからは急激にその数を減らし、ほんの少し歩いただけでもその軒並みは俺の視界正面から完全に消え失せてしまった。集団意識が強いのか、メリハリがいいのか。果たして幽霊というものは謎である。
あとはただただ殺風景。まばらに丈の低い雑草が生えているだけで、見ていてつまらない平野が延々と続くだけだ。
あの騒がしい喧噪も遠くなった。ここまで急激に環境が変化すると、どうにも物寂しくなるものだ。
ちなみにリオは未だ俺の肩の上である。ついさっきまで現役バスケ部だった俺だがさすがに肩痛くなってきた。
リオはある時を境に、俺のそこまで長くない髪にしがみついたまま黙ってしまった。
「……」
「……」
とまぁ、ずいぶんと寂しい風景が広がりすぎて俺も感傷に浸っていたわけだが。
どうにもおかしな物体を視界に捉え、俺は自分でも分かるくらい目を丸くした。
近寄ってみる。暴れる様子もないので、つまみ上げてみる。
「キュー」
鳴いたぞ。なんだこれ。ちょっとひんやりしていて、プルプルしていて、水色で。丁度、科学の授業で作らされたような……そう、スライム。
思えば、RPGによくある雑魚モンスター。そんなごく一般人のごく一般的なスライムの形とピタリ合致した。
おまけに鳴いたし。極めつけに、二つある目玉がこっち向いたし。
きっしょくわりぃ。
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