36人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「まぁ、私も最初はなかなか信じられなかったけどね」
「慣れちゃったか」
「うん、慣れちゃった」
10年もいればそうなるのだろうか。今は俄に信じがたいことだったが、それよりも気になることがあった。
「てことは、なんか魔法とかもあるのか?」
モンスターに襲われたら不味いんじゃないか、ということだ。確かに先ほどまで居た中腹では剣やら鎧やらスナイパーライフルやらで武装しているやつらはいたが、さっきの俺のようにモンスターに襲われることを考慮したうえでのあの用意なのだろうか。
剣、鎧、スナイパーライフルは置いておくとしても、そこにモンスターという標的対象がいる限り魔法というファンタジーな概念の可能性は捨てきれない。
黄泉だ死んだだモンスターだと言われたのだから、魔法があっても別段驚かないさ。
「うん、あるわよ。私も使えるし」
「はあああああ!?」
前言撤回、吃驚仰天だ。驚天動地といってもいい。そのイレギュラーはさっぱり予想していなかった。
いや、待てよと俺は顎に手を当てた。
俺が最初にリオと会った時、リオは俺を暴走したナイフ男からどうやって守った?
大の大人が突っ込んでくるのを、こんなちっこい幼女がどうにかできるか?
ならそこにファンタジー、つまり魔法の関与があってもおかしくはない。
そこについて聞こうと思った矢先、俺は視線の先にあらぬものを見た。いや、見えてしまったと言うべきだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!