プロローグ

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   いきなりだが皆様に二つ、訃報がある。  ダークな話題をいきなり提供する俺としてもなかなか心が痛むものだが、その当の本人にあまり実感がないっぽいのでとりあえずお茶でも飲みながら聞いて欲しい。    思い返してみるとその日は、所属してたバスケチームの遠征の日だった。  当時まだ小学2年生、つまりガキンチョだった俺は、生まれてこの方一日と空けずに一緒にいたアイツとたった三日間離ればなれになるのがとても不安だった。  これから遠征に行くというのに泣きじゃくる俺に、アイツはにっかりと笑いながらこう言っていたのを覚えている。 「もー、一生会えなくなるわけじゃないでしょ。私のことは心配しないの!」  雪もちらつく冬の寒風にさっぱりしたショートカットをなびかせ、アイツはグッとVサインを俺に向ける。  まだ頭の隅々まで幼かった俺は、単純なその言葉にえらく安心して遠征のバスに乗り込んだんだ。  一生会えなくなるわけじゃない。嘘の嫌いなアイツが、生涯でたった一度だけついた嘘だった。  アイツは階段で転んで死んだ。聞いた話によると、小さな子供を庇って階段を転げ落ちたらしい。世話焼きなアイツらしい、やけにあっけない死に方だった。  そして、アイツの死から辿ること10年、俺が高校二年生の冬。  後を追うように俺も死んだ。  奇しくもアイツが死んだのと同じ場所、同じ時間帯。言っておくが、自殺なんかじゃないからな。ぼーっと歩いていたら足を踏み外したなんて、俺の人生最後にして最大の汚点だ。  アイツは死んだ。  後を追うように、俺も死んだ。  これが俺の人生の顛末であり、これから始まる物語のプロローグである。  
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