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彼、村上は三流大学在学中に就職活動をしたが、 見事に全て落ちてしまった。 だが卒業後に親の知人の伝手で、とりあえず図書館の管理人という職を貰うことができた。 一応正社員だ。 「フリーターでアルバイトをやっていた方が心地好い。どうせ古びたおんぼろ図書館だろう。格好悪い。本なんて大嫌いだ。」 などと親には言えなかった。 正社員という言葉に勝てなかった。 実際にその図書館に行ってみると 思っていたよりも広く綺麗だった。 コネがなければ間違いなく入社できなかっただろう。 彼はその図書館に一目惚れし、一瞬にしてそこが大好きになった。 ひどく単純な奴なのだ。 良くも悪くも影響されやすい。 管理人といっても、この大きな図書館の全体の管理人では、もちろんない。 この図書館には何十とコーナーがあって そのコーナーひとつひとつに管理人がついているのだ。 彼が任されたのは、その中の1つのみ。 _
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