『ケモノガリ』

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本日のお勧め。ガガガ文庫より『ケモノガリ』 東出祐一郎さんの作品です……が。正直、すげぇ。いやもうなんなの。どうすりゃこんなの書けるの?神なの?死ぬの? とりあえずファントムとか零崎シリーズとか楽しめる人は買えば良いと思うよ!あと月姫の七夜好きな人! 簡単に内容を説明すると、 東欧小国に修学旅行に行ったとある学校の一クラスが丸ごと拉致。次に目が覚めたときにはコンクリートの部屋の中。 そう、彼らは世界中のお金持ち達の道楽の一つである、街を丸ごと一つ買い取っての『人間狩り』の獲物に選ばれちゃったのです。 廃墟と化した街中を逃げ惑うも、日本の一高校生に対抗手段など当然無く、次々に惨殺。相手が海外じゃ高値で売り買いされる日本人で、しかも高校生って事で狩人たちもますますヒートアップ。ああ、楽しいなあこれ。 ……しかし、彼らは知らなかったのです。 拉致された高校生の中に、なんつうか、日本人に必要が無さ過ぎる才能に特化した少年が居たことを……! 覚醒する才能。そして始まる逆転劇と復讐劇。ほうら、こんなに面白い話があるかってのよ……! ところで、ファントムのツヴァイと展開や才能など似通った面がある故、分かりやすいよう例えに出してますが、この主人公はどっちかって言うと月姫の七夜側だったりします。 極限状況に於いて自身が生き残る為の最良の行動を選択することが出来る、『生存』に特化したレイジと、ありとあらゆる面で『人を殺す』為の最良の行動を選択できる、『殺人』に特化したこの主人公は、根本的に別物。 『生きるために殺す』か、『殺すために殺す』かってことで、この辺はいわゆる、『暗殺者』と『殺人鬼』の違いなんだろうなあと。 こんな内容ですが、実は最後は少しだけ泣けます。泣きました。 戻れるはずだった日常。手に入るはずだった幸福な日々に背を向けて、ただ愛する人の幸せの為に戦場に赴く漢の背中は、やはり……惚れる。 ということで、かなりの良作でした。興味が沸いたなら買ってみるのが吉。絶対に後悔は無いはずだから。 因みに敵の名前は、毒使いの婦人『ブラック・ウィドウ』。チェーンソー使いの大男『ハリウッド・スター』。最強の狙撃手『ロビン・フット』。 いやもう、B級映画分と中二病も満足させることができる小説です。 あとほんわか幼なじみな!
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