一章

6/9
前へ
/11ページ
次へ
背丈は昔から小さく、百五十センチくらい……だろうか。それぐらいしかない。 そんな体でよくこんな大きな荷物を運べたものだ。 「手伝おうか?」 俺は近くに転がっていた荷物を一つ持ち上げた。 ……案外重い。 「……いいの?」 「まあ家近いし、一人じゃ大変だろ?」 「…うん、じゃあ……お願いしようかな………」 そう行って、恵は俺の隣で歩き出した。 ………女子の荷物ってなんでこんなに重いのかな…? 左手にある俺の荷物の中には、多少の着替えと教科書が少し入っている程度である。 (何入っているのか聞くのは野暮だな……) ただ恵なら普通に答えてしまいそうなので怖い。 「……皆都?」 「……んあ!?」 突然の声で変な声が聞こえてしまった。 「……どうしたの?急に静かになって…?」 「え?ああ……何でもないよ…」 「……変な皆都…」 と言って恵は少し笑いながらまた歩き出した。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加