プロローグ

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ギルバートは嫌々と首を振り、母親は困ったように眉を顰める。 その時だった。 「シェイン。ゆっくりしている暇はない。ギルバートだけでも。その子は希望だ」 父親だろう。二人の様子を見ていたが、ふと走ってきた方向へと視線を戻し、険しい表情で呟いた。その言葉に、シェインと呼ばれた母親は一瞬震えるも、ぐっと唇を噛みしめギルバートの両肩を掴んだ。シェインの様子に何かを悟ったのか、ギルバートは不安げに母親を見やる。 「いい、ギルバート。あなたはこれから一人でおじいちゃんの所に行かないといけないの。おじいちゃんの家、分かるわね?ずっと真っすぐ行けば村があるから、村の一番大きな家がおじいちゃんの家よ」
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