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「……嫌だ。僕は一人で行きたくない」
「我が儘を言わないの!」
シェインの叱責に、ギルバートはびくりと肩を震わせた。父親はそっとギルバートの頭を撫でると、腰にさしていた剣を抜き放つ。シェインはぎゅっとギルバートを抱きしめると、小さな声で「元気で」と呟いた。
そして、ギルバートの背中を押すと、父親と共に走ってきた道を再び戻っていった。ギルバートは押された反動で何歩か進むも、くるりと向きを変え、両親を追いかけ始める。しかし子供の足では中々追いつけるものではなかった。
懸命に走り、ようやく人影が見えた時には、抜剣している父親と、馬に乗り武装している兵士達、そして、父親に抱えられている母親の姿――。
ギルバートは、声を出す事が出来なかった。
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