プロローグ

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「ここまでだな、ログラム国王」 取り囲んでいる兵士達の間から、一人の人物が進み出る。一目で、兵士達をまとめる者だと分かった。 父親、ログラムは、ぎゅっとシェインの体を抱きしめ、剣先をその人物へと向ける。シェインの体は、動かなかった。 「貴様…っ」 「国王、貴方がこうして逃げた時点で、城は我々カノダールの手によって陥落した。よって、サリブル王国は滅びたのだ」 剣先を向けられても微動だにせず、寧ろせせら笑うようにログラムに告げた。そして、ゆっくりと剣を抜き放つ。 「その命、頂戴する」 ログラムはシェインを抱いたまま、降り注ぐ斬撃を必死に凌いだ。他の兵士は手を出さず見守る。ギルバートも何もすることはできず、声も出すことも忘れ、ただただ勝負の行方を見守った。
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