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ついに、ガキンッと大きい音と共にログラムが持っていた剣が飛ばされた。ログラムがはっと見上げた瞬間だった。
「終わりだ」
男が剣を横に振った瞬間、ログラムから赤い液体がほとばしった。――ゆっくりと、ログラムは倒れこんだ。
ギルバートはその光景に、初めてひっと息を飲んだ。ようやく、一歩後ずさる。その時だった。
「隊長、あそこに子供が」
ログラムを斬った男は、兵士の一人に言われ前方を見やる。そこには、震えるギルバートの姿があった。無造作に剣を振るい血を落とすと、ゆっくりとギルバートの方へ歩き出す。
ギルバートはそれに習うように男が近づいた分後ずさったが、ばっと向きを変え、泣き叫びながら走りだした。
お父さんが死んだ!お母さんも……死んだ!!
泣き叫びながら走り去っていくギルバートを、兵士は追いかけようと馬首を向けた。が、男が手を伸ばしさえぎる。
「いいんですか、隊長。後継ぎ殺さなくて」
「あんな子供に何が出来る。どうせ此処は我々[カノダール王国]の領土になったのだ。いつでも殺そうと思えば殺せるさ」
暗闇の中、ギルバートが走って行った方向へ一度目を向けると、「戻るぞ」と自分が乗っていた馬へ乗り、[カノダール王国]へと戻っていった。
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