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「ちょ、ちょっと意味が‥それって、貴方もその人もカミサマってこと?んで、俺も?‥いや、だって‥俺フツーに人間だし!」
「自覚症状なくたって仕方ないわよねぇ?」
背後のドアが開き、いい香りと共にトレイを掲げた女性が入ってくる。
先程神社で出くわしたゴージャス美女だ。
トレイの上には、温かな湯気の立つ紅茶碗が4つ載せられている。
「‥ま。長くなりそうだし、かけたら?
プローメーテウスも気が利かないわね?恭弥君足が疲れちゃうわよ?‥‥スポーツマンタイプじゃなさそうだしね?」
色っぽくウインクしながら、美女が恭弥に傍らの椅子へ軽く視線を流してかけるように勧めた。
半ば倒れ込むようにして腰をかける。
ふと前方を見れば、いつの間にかハデスはプローメーテウスの斜め右の椅子にどっかり腰を下ろしていた。
恭弥の前に紅茶碗を置きながら、美女は二人の前にやや乱暴に紅茶碗を叩きつけ、(二人ともこういうやや冷淡な対応には慣れてるのか、眉一つ動かさなかった)ハデスと反対側の椅子に腰を下ろした。
(う…凄い迫力…)
恭弥が思わず目をぱちくりする。
三人並んで座ってる姿は、言葉通り『神々しかった。
「さしても、理解するのは難しいかも知れないね?君はさっき自分のことを(人間)と言ったが、私とこの…アフロディーテも、肉体上は人間だ」
ぶふっ…と恭弥が口にした紅茶を思わず吹いた。
きったねぇなぁ…とハデスが眉をひそめる。
ハンカチ片手に立ち上がったアフロディーテをいろんな意味の遠慮で恭弥はたじろいで、大丈夫ですっ…と押しとどめた。
あんな色気たっぷりの美人なんて身近に接したことないし、見たこともないし。
ましてや『美と愛の女神』をこの目で見る日が来るなんて…
「ギリシアの神々は一度は滅んだ。生と死と再生は自然の摂理だからね」
プローメーテウスが、ゆっくりと語りかける。
「私たちは一度死に、現世に生まれ変わって覚醒し、神の記憶と力を取り戻す。大体、16歳までに覚醒するのが一般的かな‥‥統主は別名、覇王陛下と呼ばれてオリュムポスの12神が守護するようになっている」
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