素面でテンション高い学生は考えたらエラい

7/10
前へ
/1339ページ
次へ
「かつて、ギリシア神界は全知全能の神ゼウスが統治していた。由緒ある古い宗教でこの世の中でも伝統と格式の高さでは 一、二を争うだろう。 だが…神は永遠ではない。生あるものには必ず死と再生が訪れる。ギリシアの神々も例外ではなく、いずれ来るべく死と転生の為に、私はエレウシス財団を設立した。12神亡き後も、他の宗教に侵されることなくギリシア神界の存続のため覇王陛下の元、転生したオリュムポスの12神が集いお護りするように…」 「すぐに転生するわけではないから、その間オリュムポスの12神は様々に変わったわ。初代メンバーが一番選ばれし者で正当なのだけどね」 遠い昔を空間に透かし見て、アフロディーテの可憐な唇から吐息が漏れる。 もう入学式は始まっていたのかも知れない。 現実に、校門や校舎の周りは千人近い新入生や、各寮生、教師や役員に父母でごった返しているのに、この部屋には何一つ物音が届かなかった。 春ののどかな日差しですら、息を潜めるように寮の周りに生い茂った桜の陰を淡く落としている。
/1339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3259人が本棚に入れています
本棚に追加