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「ゼウスは滅びたよ。神々は、ゼウス派と君を護ろうとする我々の真っ二つに別れ…君も残念ながらその時に亡くなった」
恭弥は話のスケールのでかさに、ただただビックリするばかりで声も出ない。
「私たちは君が生まれ変わり、ギリシア神界の統主として統治することを望んできたんだ。財団は君の魂を長い時をかけて探し、発見して日本にいる善良な夫婦に預けた。どうか心清く、優しい子に産まれてくることを願ってね」
「日本人の夫婦…って…えぇっ?」
恭弥の脳裏に年中ラブラブな両親の姿が浮かぶ。
そんなどシリアスとは無関係そうに見えたが…
「二人は貴方の魂を預かることを承知したけど、何より自分たちの子供として大切に育てることを主張してきたわ。貴方は、愛されて愛されて大切に育てられてきたのよ?」
鈴を転がすような声で、アフロディーテが柔らかく告げる。
神様の話から一気に両親へとぶっ飛んで、恭弥は、うぅ…と額に手を当てる。
何なんだ…あの両親は。
そんな大層なシチュエーションなのに全くそんな素振りは見せなかった。
全く気にしてなかったのか、『カミサマ』の魂預かってることすら忘れて、お気楽極楽に暮らしていたのだろうか
…多分後者のような気がする。
「教授はギリシア神界の存在を理解していたし、我々神は各国政府とも通じている」
‥なんと言っても我々はカミサマだからね?‥と軽く片目を瞑りプローメーテウスはおどけて見せた。
話が昏い神代から現世に移って、少し気が楽になったからかも知れない。
「君の魂を日本で待ち望むために、私はこちらに来て日本支部に中央機構を移し準備していた。君の覚醒に備えて‥」
「お…俺じゃなくても…」
恭弥は頭を抱えたくなってしまう。
「俺が統主とかにならなくたって、他の人がなるのはダメなんですか?…俺…全然ダメなんです…その…勉強だって運動だってダメだし…見た目もフツーの、ホントどこにでもいそうな…」
言いながら段々声が小さくなっていく。
誰だって、口に出してみたら情けなさすぎて、悲しくなってしまうに違いない。
ましてや相手は超絶美形のカミサマ軍団だ。
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