素面でテンション高い学生は考えたらエラい

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惨めにならない方がおかしい。 「急にカミサマとか生まれ変わりとか言われてもピンとこないし、あなたとかそこの…ハデス…さん…とかでも統主になったらいいじゃないですか」 相手の目を見て言えた訳じゃない。 俯いたまま、視線は両膝の上に力なく置いた両手を見たまま、今にも消えそうな声で呟いた。 だが、 「君じゃなきゃダメなんだよ?」 柔らかい声音ながらもっぱりとプローメーテウスが告げる。 そこにあるのは鋼鉄の意志。 プローメーテウスだって、こんな平凡な日本人のガキにいきなり世界観に関する重大な話をしたって、通じるはずないのは百どころか万も承知だ。 恭弥が生まれてから今日に至るまでの15年間ずっと財団は、彼の存在に期待し続けていた。 成績も運動神経も容姿だって、並以下過ぎるのはわかっている。 …大切なのは魂の資質だ。 恭弥の魂は、シミ一つない気高く光輝いている… 今はちっぽけでつまらない石ころにすぎなくても。 「君の道はもう選ばれてしまった。今さら降りるわけにはいかない。これは君の意志は関係ない。もう運命なんだよ?だから…」 プローメーテウスの言葉を遮るように、窓ガラスが叩き割られた。 軽く体をそちらに振り返ったハデスは、顔色一つ変えずに 右手を眼前にかざすと、破片からその秀麗な美貌を守る。 後の二人も、格段驚いた様子もないが、恭弥一人だけがヒイッと軽く息をのんだ。 「…ねえ君なにしてるの」
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